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ニュースレター第八号 5/31/2016

 

目次:

1.中南米市場、ここがポイント

2.TWI GLOBAL BUSINESS事業案内

―― 米国及び中南米向けマーケットリサーチ・コンサルティングサービスをご提供

 

1.中南米市場、ここがポイント

TWI GLOBAL BUSINESSは米州地域の政治経済やビジネスに関する記事を皆様にお送りしています。

 

ポイント1.「実用的」なメルコスール目指す

テメール暫定政権の政策に注目が集まるブラジルですが、外交面でも活発な動きを見せています。外務大臣に選ばれたブラジル社会民主党(PSDB)のジョセ・セーハ氏は、523日にアルゼンチンを訪問、29日にはOECD閣僚会合出席のためにパリへ出発と忙しいようです。

過去二回大統領選に敗れた大物議員のセーハ外務大臣が目指すのは他国・地域との経済関係強化です。各紙によると、パリではフロマン米通商代表(USTR)やEUのマルムストロム通商担当委員と協議の場を持つ予定です。欧米諸国との関係強化に消極的であった労働党政権とは異なる姿勢を見せています。

しかし、関税同盟の南米南部共同市場(メルコスール)加盟国のブラジルは単独でメルコスール域外の国・地域と貿易交渉を進めることができません。メルコスールには加盟国(ブラジルのほか、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラの5ヵ国)が揃って域外と交渉しなければならないという規定があるからです。関税同盟とは、域内の輸入に対しては関税を撤廃、域外からの輸入に対しては共通の関税を設定する地域統合を指します。たとえば、ブラジルは日本からの完成車に対して他の4ヵ国と同じく35%の関税を設定しています。

域外との「抜け駆け」を許さないこの規定は、将来的にEUのような経済同盟を目指すメルコスールにとって必要なプロセスであり、かつ加盟国間の調和を深めるのに効果的な面があります。他方、各国の政策や考え方の差異が大きければ不満を増長する原因ともなりえます。過去10年以上にわたりブラジルとアルゼンチンで左派政権が続いたメルコスールでは、政治的な議論が中心となり、貿易の拡大や地域統合の深化に関する議論は二の次となっていました。域外との貿易交渉への取り組みにも消極的でした。このため、貿易の多角化をのぞむウルグアイとのあいだで意見の不一致がよく見られました。

アルゼンチンを訪問したセーハ外務大臣は、「実用的(Pragmatic)」なメルコスールを目指し、域外との単独による貿易交渉を可能としたい旨発言しました。現時点では例外扱いとして単独による交渉を認めるかたちをとるのか、それともメルコスールをより柔軟的な自由貿易協定にするのかといった方法論は明確になっていません。加えて、ブラジルの政局は安定せず、セーハ氏がいつまで外務大臣を強めるかも未確定です。しかし、アルゼンチンのマクリ新大統領も米国、太平洋同盟、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定参加への関心を表明している中でのセーハ氏のこの発言、メルコスールに新しい風が吹いていることは間違いないようです。

 

ポイント2.「中南米へのゲートウェイ」米国からのアプローチ ― 中南米ビジネス拠点の考察② ―

まずは日系企業が中南米市場にアプローチする際のルートについて考えてみます。ここでいう「アプローチ」とは、取引開始のための顧客や現地パートナーの開拓、物流、営業、投資のためのF/Sの実施などを意味します。

選択肢の一つは日本からの直接的なアプローチです。ブラジルやメキシコといった地域の大きな市場に日本の本社から取引や投資を行う、最も単純なモデルです。二番目は進出先のブラジルやメキシコの進出先を拠点として周辺国にアプローチする方法です。最後は米国の現地法人を経由するルートです。日本からの直接的なアプローチには遠距離、時差、言語や文化の理解の欠如、情報や人材の不足など多くの障壁があります。また、日本の本社はアジアでのビジネスに忙しく、地球の裏側にある中南米諸国とのビジネスに取り組む余裕はあまりないとの現状が聞かれます。そこで、比較的距離が近く、時差もあまりなく、スペイン語を話すヒスパニック系人材や中南米に関する情報が豊富な米国に子会社があれば、そこから比較的容易に市場開拓を進めることが可能です。中南米地域に頼れる取引先がいない、もしくはB to C形態などの企業にとっては、米国の現地法人からアプローチする方が効果的な場合があると考えられます。加えて、米国で製造している企業にとっては、多くの中南米諸国とFTAを結んでいる米国から製品を輸出することで、中南米諸国の高い輸入関税を回避することも可能です。

実際、在米日系企業のあいだで中南米ビジネスを行っている、あるいは関心を寄せている企業は少なくありません。ジェトロの「2015年度北米進出企業実態調査」によると(回答企業数636社)、中南米と取引がある、あるいは拠点があると回答した在米日系企業の割合は全体の55.0%、いずれもないがビジネスに関心はあると回答した企業の割合は25.5%に達しています。また、ジェトロの「2015年度中南米進出企業実態調査」(回答企業数394社)によると、中南米事業統括拠点は日本本社にあると回答した在中南米日系企業の割合は56.6%と半分以上を占めますが、北米の現地法人にあると回答した企業の割合は23.1%と二番目となっています。国別では在メキシコ(31.8%)、在コロンビア(28.6%)、在ブラジル(24.3%)企業の順で北米に中南米統括拠点を有すると回答した割合が高くなっています。

上記のアンケート調査から、日本企業にとって米国が「中南米へのゲートウェイ」として機能していることが垣間見れます。著者の経験から判断して、多くの場合は米国進出先、たとえば自動車産業であればミシガン州やテネシー州など中西部・南東部の工場やオフィス、サービス業だとニューヨークやロサンゼルスなどが中南米ビジネスに向けた起点となっているようです。

日系企業の中には稀に中南米地域での売り上げが米国内のそれを上回るような企業が見られます。また、米国市場での売り上げが大きく、米国内にすでに多くの拠点を持ち、さらには中南米ビジネスにも注力するような大企業もあります。これらの企業の中には、中南米業務を一つの拠点に集約させる傾向が見られます。中南米ビジネスに取り組む企業に優れた環境を提供し、しばしば「中南米の首都」と呼ばれるマイアミがその一つです。最近ではヒューストンやアトランタなども中南米拠点として名乗りを上げています。

               

2.TWI GLOBAL BUSINESS事業案内

世界一の経済規模を誇る米国、その南には新興市場の中南米地域が広がります。

これら有望市場へのアプローチの際には言語・文化の違い、地理的距離、異なるビジネス慣習といった多くの障壁に直面します。

米国・中南米に関心はあるものの、足がかりを見い出せずにお困りの方。現地取引相手やパートナーのサーチ、市場調査、進出のための事前調査などをご希望の方はいらっしゃいませんか?

TWI Global BusinessDiv. of Teruko Weinberg, Inc.)では10年以上の中南米での経験、同地域に幅広いネットワークを持つスタッフがお客様のビジネスを全力でサポート致します。どうかお気軽にお問い合わせください。

 

担当者:Executive Researcher/Consultant 水野 亮

経歴:米国、ブラジル、ドミニカ共和国、ニカラグア、タイなどにおいて政府機関やマーケットリサーチ会社での駐在経験、前職の日本貿易振興機構(ジェトロ)在勤中には東京本部やニューヨーク事務所にて中南米・米国市場や通商政策などに関する調査業務に従事。中南米・米国地域に幅広い人脈を有する。米コロンビア大学国際関係・公共政策大学院卒。著書には「中南米ビジネス拠点の比較と米国企業の活用事例」「米国からの中南米市場戦略」「FTAガイドブック2007」「FTA新時代」「ブラジルの電力危機」など多数。

 

事業概要:戦略策定支援、リサーチ、現地パートナーとの仲介、輸出入促進支援、コンサルティング、信用調査・デュー・デリジェンス、情報提供サービスやセミナー含む各種イベントの開催など

 

本メルマガに関するお問合せ等ありましたら水野(rmizuno@twinc.com)までお気軽にご連絡ください。