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ニュースレター第15 11/2/2016

 

目次:

1.中南米市場、ここがポイント

2.TWI GLOBAL BUSINESS事業案内

―― 米国及び中南米向けマーケットリサーチ・コンサルティングサービスをご提供

 

1.中南米市場、ここがポイント

TWI GLOBAL BUSINESSは米州地域の政治経済やビジネスに関する記事を皆様にお送りしています。

 

ポイント1.中南米人材の宝庫 ― 中南米ビジネス拠点の考察⑤ ―

前号まで四回にわたり米国の中南米拠点について考察してきました。米国と中南米を結ぶ交通・運輸インフラの利便性、同地域の専門性の高いビジネスサービスの充実など、高度な中南米向けビジネス環境を考慮すれば、米国勢を中心に多くの企業がフロリダ州マイアミに中南米拠点を置くのはむしろ自然の流れと説明しました。

 

今回はマイアミの人材に焦点を当てたいと思います。まず、マイアミ・デード郡全人口の約六割が主要言語としてスペイン語を話すヒスパニック系です。国内にはフロリダ州以外にもテキサス州やカリフォルニア州などヒスパニック系人口の割合が大きい州がありますが、特に移民二世や三世などのあいだでは日常では主に英語が使われる傾向が強いようです。

 

次にヒスパニック系の人種の多様性です。マイアミを含むフロリダ州南部にはキューバをはじめ、ベネズエラ、メキシコ、中米、コロンビア、ブラジルなど移民の出身国は多様化しています。この点、メキシコ出身がほとんどを占めるカリフォルニア州やテキサス州のヒスパニック系とは異なります。

 

中南米諸国に目を向けると、多くの国民は米国に対して複雑な感情を持っています。大国に対する尊敬の念もあれば、畏怖の念もあります。たとえば、メキシコの人々は、スペイン語が英語訛りの米国の二世以上のメキシコ系ヒスパニック(チカーノと呼ばれています)を嫌がる傾向が見られます。また、中南米におけるビジネスは米国と比べて「ウェット」であり、交流を深めてお互いの理解を深めることが必要とよく耳にします。

 

そこで、上記のマイアミの特徴が、中南米ビジネスを円滑にする上で重要なカギを握ります。マイアミに営業拠点を設置し、ヒスパニック系人材を雇用し、そこから中南米向けに営業を展開するケースを想定してみます。販売先である中南米諸国をよく理解している、訛りのないスペイン語を話すヒスパニック系社員はこの地域では好感をもたれることになります。もっといえば、たとえばコロンビア向けのビジネスには、米国側でコロンビア系に任せるのが最良の選択かもしれません。その国の深い理解の上、同じ言葉を話すからです。プライドが高いといわれるアルゼンチン系に他の南米諸国向けの営業を任せるのは得策ではないかもしれません。ペルー向けの営業にチリ系を雇うのも然りです。過去の戦争や領土の奪い合いの歴史から、両国の相互の複雑な国民感情は有名です。中南米諸国は「似て非なり」なのです。マイアミには日系企業の中にもこの点をよく理解し、多様性のあるヒスパニック系人材をうまく活用している企業が見られます。

 

米国の他の地域にはない多様なヒスパニック系人材の宝庫―――マイアミが中南米ビジネスのための都市と呼ばれる最も重要な要素なのかもしれません。

 

ポイント2.メルコスールの「プロビジネス」化が鮮明

メルコスール(加盟国:アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ)加盟国は歴史的な景気後退と政治の混迷に苦しんでいます。世銀はオリンピックを終えたばかりのブラジルの2016GDP成長率をマイナス4.0%と見込んでいます。国営石油企業ペトロブラスなど大企業を巡る政治家の相次ぐ汚職問題やルセフ大統領の罷免といった政治問題が続き、ルーラ政権時代に経験した高度成長で「ブラジルの奇跡」とまで呼ばれた同国は、今では「ブラジルの悲劇」と呼ぶのが相応しいようです。

 

アルゼンチン経済も芳しくありません。10年以上続いた左派キルチネル前政権による為替規制、価格統制、輸入規制など、相次ぐ保護主義的な政策の導入に苦しんだ企業は少なくないと思います。前政権の「負の遺産」や対ブラジル輸出の落ち込みなどの影響により、2016年のGDP成長率は0.5%減と予想されています。

 

一方、201512月に誕生したマクリ政権のプロビジネス的な政策の導入により、そんなアルゼンチンに新しい風が吹いています。為替規制や輸入規制の緩和措置などを矢継ぎ早に導入しています。3月には欧米系のファンドとのあいだで債務返済の交渉をまとめ、海外からの投資の誘致に向けて大きな一歩を踏み出しました。5月には新たにエネルギー政策を発表し、新エネを中心とするインフラ投資の促進に乗り出しました。政治腐敗にもメスを入れる姿勢を表明しています。

 

マクリ政権は他国との経済関係強化にも積極的に取り組んでいます。マクリ大統領はメルコスール加盟国のみならず、メキシコ、コロンビア、ペルー、チリで構成される太平洋同盟との関係強化、日米やメキシコ、ペルー、チリなど太平洋諸国12ヵ国で構成される環太平洋パートナーシップ(TPP)への将来的な参加への関心も表明しています。

 

この「新生アルゼンチン」が作る流れに、9月に大統領に昇格したブラジルのテーメル大統領が乗ろうとしています。財政再建や民間主導のインフラ整備・拡充計画など将来的な成長に向けた政策を次々と発表しています。105日にはこれまでペトロブラスが独占していたブラジル沖の深海底「プレサル」開発・オペレーションの民間企業への開放に関する法案が議会で可決されました。メルコスール加盟国が単独で域外諸国との貿易協定の締結を可能とするための地域協定改定の提案、英国のEU離脱の決定後すぐに英国との貿易関係強化の考えの発表など、域外との関係強化に消極的であった労働党(PT)政権とは明らかに異なる姿勢を見せています。アルゼンチンのマクリ大統領が積極的に外交を進める中でのテーメル大統領のこの動き、アルゼンチンの風がブラジルにも吹き始めていることは間違いないようです。

 

2016年も前年に引き続き経済低迷に苦しむと予想されるメルコスールですが、ブラジルとアルゼンチンは経済を再び軌道に乗せるために布石を打ちつつあるようです。

 

2.TWI GLOBAL BUSINESS事業案内

世界一の経済規模を誇る米国、その南には新興市場の中南米地域が広がります。

これら有望市場へのアプローチの際には言語・文化の違い、地理的距離、異なるビジネス慣習といった多くの障壁に直面します。

米国・中南米に関心はあるものの、足がかりを見い出せずにお困りの方。現地取引相手やパートナーのサーチ、市場調査、進出のための事前調査などをご希望の方はいらっしゃいませんか?

TWI Global BusinessDiv. of Teruko Weinberg, Inc.)では10年以上の中南米での経験、同地域に幅広いネットワークを持つスタッフがお客様のビジネスを全力でサポート致します。どうかお気軽にお問い合わせください。

 

担当者:Executive Researcher/Consultant 水野 亮

経歴:米国、ブラジル、ドミニカ共和国、ニカラグア、タイなどにおいて政府機関やマーケットリサーチ会社での駐在経験、前職の日本貿易振興機構(ジェトロ)在勤中には東京本部やニューヨーク事務所にて中南米・米国市場や通商政策などに関する調査業務に従事。中南米・米国地域に幅広い人脈を有する。米コロンビア大学国際関係・公共政策大学院卒。著書には「中南米ビジネス拠点の比較と米国企業の活用事例」「米国からの中南米市場戦略」「FTAガイドブック2007」「FTA新時代」「ブラジルの電力危機」など多数。

 

事業概要:戦略策定支援、リサーチ、現地パートナーとの仲介、輸出入促進支援、コンサルティング、信用調査・デュー・デリジェンス、情報提供サービスやセミナー含む各種イベントの開催など

 

本メルマガに関するお問合せ等ありましたら水野(rmizuno@twinc.com)までお気軽にご連絡ください。