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TWI Global Business ニュースレター 第19号 2/1/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

トランプ新政権の政策の中南米への影響(4):アジアとの貿易関係強化の機運高まる

 

トランプ新政権の政策の中南米への影響(4):アジアとの貿易関係強化の機運高まる

トランプ大統領は矢継ぎ早に大統領令を繰り出しています。日本政府や企業の注目も集める通商政策では就任初日にTPPからの米国の離脱を発表、NAFTAの再交渉を加盟国に求める考えをあらためて明確にしています。

新政権の政策の影響を最も受ける中南米諸国はメキシコにほかなりません。TPP脱退、NAFTA再交渉に加えて、メキシコでの工場拡張などを予定するメーカーに対する「国境税」の賦課、米国内の不法移民の送還や国境沿いの壁の建設など同国を目の敵にする数々の発言は、両国間の経済関係の不確実性を高め、ペソの急落を招いています。実際に関税の引き上げなどの措置が実現すれば、輸出全体の八割を米国市場に依存しているメキシコの実体経済は甚大な影響を受けると予想されます。メキシコ以外の中南米諸国にとっても「対岸の火事」ではありません。上述のメキシコを標的とする措置のみならず、最近では輸入に対して20%にのぼる「国境調整税」を導入する共和党案や一律の関税引き上げ案に関する話題も増えています。

「米国第一」主義を掲げ、国内雇用の創出、そのための関税引き上げなどを計画する新政権の動きとは異なり、中南米地域には自由貿易主義の風が強まっています。世界の主要国とのあいだで貿易協定を積極的に結んできたメキシコ、コロンビア、ペルー、チリの太平洋同盟諸国のみならず、ポピュリスト政権の下、近年まで国内産業保護的な政策を続けてきたブラジルやアルゼンチンも新政権誕生以降は他国・地域との経済関係強化に乗り出しています。

米国の貿易政策の見通しが不透明な中、中南米諸国にとってベストな選択は米国以外の国・地域との貿易協定締結を求めていく、ということになります。中南米諸国のあいだで自由貿易の機運が高まる中、米国に代わる輸出先の開拓は自然の流れともいえるでしょう。

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すでにその兆候が見られ始めています。メキシコは米国に対してNAFTAの再交渉に応じる姿勢を見せる一方、ビデガライ外務大臣が30日にブラジルやアルゼンチン、欧州諸国、アジアでは日本や韓国、中国といった主要国との貿易関係強化の姿勢を明らかにしています。同日、ブラジルのペレイラ開発商工大臣はブラジルを訪問していたアルゼンチンのカブレラ生産大臣との会談で、両国が加盟する貿易協定「南米南部共同市場(メルコスール)が国際貿易へ復帰する時期」が来ているとした上で、今後経済関係強化を求めていく国・地域に太平洋同盟、そして日本などを挙げました。

ブラジルにおける日本との貿易協定締結の要望は以前より国内のビジネス界から上がっていました。2016年に就任したテメル大統領は就任後まもなく日本や中国へ訪問するなどアジアの主要国との新たな関係の構築に尽力しています。今回の閣僚レベルによる日本との貿易協定締結への言及は、米国の保護貿易主義的な動きによってアジアとの貿易関係強化の機運がより高まっている表れとも考えられます。