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TWI Global Business ニュースレター 第20号 03/21/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

NAFTA見直しは原産地規則の変更が焦点の一つに

 

NAFTA見直しは原産地規則の変更が焦点の一つに

ウィルバー・ロス氏の商務長官就任が2月末に決まり、NAFTAの見直しに向けた再交渉がいよいよ現実味を帯びてきました。交渉に関税の引き上げが含まれるかどうかに注目が集まります。

関税の引き上げの実現可能性は、メキシコとのあいだで締結する協定の実施に米国議会の承認が必要かどうかで大きく異なってきます。メキシコ製品に対する関税の引き上げ、あるいはメキシコからの報復措置の影響を受ける米国企業からのロビイングに応えようとする議会の反発が大きくなると考えられるからです。

NAFTAの実施に関する過去の国内法を見ると、トランプ政権は議会承認を得ずにNAFTA加盟国に対する関税を引き上げることが可能と解釈可能な箇所が見あたります。しかし、自由貿易協定の大幅な改定は過去に例がなく、従来は議会に属する通商権限をトランプ政権が無視して行動すれば、議会から強い反発を招く可能性が高いと考えられます。

その点、ウィルバー・ロス氏は現在有効な貿易促進権限(TPA)を利用することを考えているようです。同法は、従来は議会に属する通商権限を一時的に行政府に移譲し、他国との交渉でまとめた協定案を議会修正なしで賛成・反対いずれかの採決を可能とする時限立法です。TPAで既定する手続きに基づけば、2021年7月1日までに締結する協定について迅速な審議プロセスの対象とすることができます(ただし、延長の否認決定の場合は2018年7月1日まで)。曖昧な過去の法律ではなく、現在有効なTPAを利用することで、法的安全性の確保や迅速な議会審議プロセスの実現に加え、過去のNAFTA関連法には規定のない、サービス、投資、知的財産権、電子商取引など関税の変更以外の分野の改定を交渉に含めたい意向が見え隠れします。

また、これまでロス長官は関税の引き上げには触れず、原産地規則の変更を再交渉分野の目玉に位置付ける方針を示しています。原産地規則とは、自由貿易協定を結んでいる相手国で関税の減免措置を受けるために必要となるルールです。NAFTAを例に挙げれば、メキシコ企業の製品が米国の税関でNAFTAに基づく免税措置を受けるためには、生産に使用する原料・部材を一定程度以上NAFTA加盟国から調達する必要があります。現行ルールの規定する調達比率の下限を引き上げ、メキシコ企業が域外から調達している原料・部材の域内への調達への切り替えをトランプ政権が狙っていると思われます。日本を含むアジア諸国からの調達に頼る企業にとっては厳しいルールとなりえますが、関税の変更ほど大きな反発をメキシコから招かないと考えられます。

交渉開始時期にはトランプ政権が関税の変更について提案する可能性は排除できませんが、その場合でも交渉の焦点はルールの変更に移っていってもおかしくはないと思われます。

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