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TWI Global Business ニュースレター 第21号 5/13/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

2017年を改革の年に ―ブラジルのビジネス環境改善に向けた動き―

 

2017年を改革の年に ―ブラジルのビジネス環境改善に向けた動き―

ブラジルで税制改革の実現に向けた兆しが見られ始めています。2016年12月にテメル大統領が「税法の簡略化を目指す」旨発言しました。続いてメイレレス財務長官は4月の地場銀行主催イベントで「本年中の税制改革成立に向けて動く」と発言、5月11日には4月に下院議会で可決された労働改革法案、現在審議中の年金改革法案の「次に議論される法案だ」と強調しました。2017年後半の提案を目指すと加えています。

ブラジルといえば複雑な税制、インフラの未整備、治安問題、高い労働コストなど、現地企業の競争力を削ぐこれらの「ブラジル・コスト」が有名です。特に税制の複雑さは世界でもトップレベルです。世界銀行の「Doing Business 2017」報告書によると、企業が税務申告等の準備にかける平均時間は2,083時間、これはOECD諸国(先進国)の12倍程度と言われています。連邦下院議会のホウリー議員(PSDB、パラナ州)は、現行の税制関連規定は長年の修正・加筆を経て納税者をいっそう苦しめる内容となり、「混乱」を招いていると4月に強く批判しています。

企業からの頻繁な改善要望にもかかわらず、政府の脆弱な財政や利害関係者のロビイングなどにより、これまでは全面的な解決を見ることがなかった「ブラジル・コスト」ですが、2016年8月のルセフ前大統領の罷免を契機に風向きが変わりました。代わって政府の指揮をとっているテメル大統領は、インフラの拡充、公営企業ペトロブラス独占の原油市場の民間企業への開放、財政再建のための政府支出抑制、派遣法の改革など、ビジネス環境の改善に積極的に取り組んできました。そして2017年に入り、労働改革と年金改革を一気に進めています。

税制改革の実現には多くの障壁が残ります。ペトロブラスやオデブレヒトに絡む政治汚職問題、労働改革や年金改革に対する労働組合を中心とした国民の根強い反対、テメル政権自身の低い支持率など、テメル政権の足をすくう材料は十分に揃っています。今年秋の中間選挙の結果も改革の行方を大きく左右することになるでしょう。支持を得るためには今年後半に見込まれている景気の底打ちのタイミングも重要となってきます。

ブラジルは生まれ変わることができるのか。一連の改革はまさに正念場にさしかかっています。

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(南米のビジネスの中心サンパウロの摩天楼)