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TWI Global Business ニュースレター 第24号 8/08/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

当面は楽観的も中長期的には不安要素多く ‐企業トップの中南米市場の見方-

 

当面は楽観的も中長期的には不安要素多く ‐企業トップの中南米市場の見方-

KPMGが6月に発表した中南米各国の企業計271社のCEOに対するアンケート調査レポート「自信か自己満足か(Confidence or Complacency)」(注1)によると、向こう12カ月の地域の成長を見込む企業の数は回答企業全体の89%にのぼり、世界平均(注2)の83%を上回りました。また、同期間の自国の市場の成長を見込む企業の数は世界平均の79%を若干上回る82%を記録しました。

自国の成長を見込む企業の割合を国別でみると、パナマ(回答企業10社)とウルグアイ(同10社)が100%、次いでブラジル(同50社)が96%と高く、93%のベネズエラ(同15社)、92%のペルー(同25社)が続いています。パナマはパナマ運河やその他の交通・運輸インフラの拡張、ウルグアイは主要貿易相手国アルゼンチンやブラジルの景気の底打ちや直接投資の増加、ブラジルは現政権による一連のプロビジネス的な改革などがこれらの成長予測の理由と考えられます。一方、政情不安が続くベネズエラの割合が93%と高いのは興味深いですが、調査の対象が石油・エネルギー部門など価格が消費市場よりは国際コモディティー市況などに左右される企業や高い既得権益を持つ企業が多く含まれている可能性があるかもしれません。

この楽観的な見方はベネズエラを除きおおむね国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)の経済予測(8月3日発表)と重なっています。ECLACによれば、2017年の中南米諸国の経済は過去二年間のマイナス成長が終わり、各国平均して1.1%成長となる見込みです。成長要因に世界経済および貿易、資源価格の回復などを挙げると同時に、中長期的な成長のためには財政の健全化などマクロ経済政策調整がカギを握るとしています。

一方、向こう三年間の自国の市場の成長を見通している中南米企業の割合は70%にとどまり、世界平均の77%を下回りました。短期的には市場は成長しますが、中長期的な成長は依然として不透明と企業の目には映っているようです。

KPMGのブラジル・南米を統括するペドロ・メロ社長は、短期的な成長を見込む中南米企業の割合が大きい背景について、昨今のコロンビアの和平条約の締結、アルゼンチン、ペルー、ブラジル政府のプロビジネス的な政策の導入や一連の改革といった政治的な努力を評価している点を挙げています。しかし、政府がこれまで導入してきた政策を維持・進展させていけるかどうかには不透明さが残り、中長期的には成長を見通す企業の割合が低くなっていると説明しています。メロ社長は「インフレがあると企業にとって長期的なディールが難しくなる」とし、中南米全体に見られる慢性的なインフレも不安要素の一つと加えています。

市場の成長への楽観的な見方が企業のあいだで広がっていますが、中長期的には不透明感や不安要素が依然として少なくないようです。

注1.本レポートは以下のサイトからダウンロード可能:
https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/xx/pdf/2017/06/ceo-outlook-latam.pdf
各国別および産業別回答企業数・割合は同レポート19ページを参照。
注2.世界平均は豪州、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、スペイン、英国、米国の計1,261社とのアンケート結果。

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