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TWI Global Business ニュースレター 第25号 9/08/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

トランプ警報はメキシコ以外の中南米にも

 

トランプ警報はメキシコ以外の中南米にも

「関税が欲しい!」トランプ大統領がジョン・ケリー首席補佐官に伝えたと各紙が報じています。

中南米諸国の中でトランプ政権の矛先が向いている国は対米輸出額の大きいメキシコにほかなりません。米国通商代表部(USTR)が7月に発表したNAFTA再交渉の目的を見ると、グローバルセーフガード措置(特定製品の輸入急増が国内産業に損害を与えていると調査で判明した場合に全世界からの輸入に対する関税の引き上げなどを一定期間可能とする措置)発動の際のNAFTA加盟国の適用除外規定の撤廃、貿易救済措置(アンチダンピング税〈AD〉および相殺関税〈CVD〉)の妥当性をパネルで審査する紛争解決制度の廃止などの提案に加え、8月15日に開始された第一回交渉会合では、米国に有利な自動車原産地規則の導入に関する提案があった旨報じられています。どれも対米輸出に影響を与える提案であり、メキシコは強く反対しています。

トランプ政権は年内の交渉妥結を目指すと発表していますが、多くの専門家は長期化すると見ています。しかし、万が一年内に交渉がまとまり、米国の主張するグローバルセーフガード措置の適用除外規定の撤廃が実現すれば、太陽電池セル・パネル生産国のメキシコは2018年1月頃に決定予定の1974年通商法201条に基づく同製品に対するセーフガード措置の対象となるリスクがあります。

トランプ政権の矛先がメキシコに向いているからといって他の中南米諸国も安心してはいられません。NAFTA再交渉の結果次第では米国の主張する原産地規則の厳格化により、在メキシコ企業が対米輸出製品で使用している原料などの中南米諸国からの調達に影響が生じる可能性があります。たとえば米国の繊維産業が政府に要望している「非原産繊維製品特恵関税割当(TPL)」(一定量であれば域外国からの輸入品であっても、縫製などの製造工程を域内国で行うことにより、協定税率での域内輸出を認める例外措置)の制限が実現すれば、中米・カリブ諸国産の対メキシコ輸出が影響を受けることになります。

NAFTAだけではありません。トランプ政権の貿易救済措置の動きはメキシコ以外の中南米諸国の対米輸出にも影を落としています。1962年通商拡大法232条に基づく安全保障を理由とした鉄鋼製品に対するセーフガード措置の調査が進んでいます。この措置の発動が決定すれば、ブラジルなど南米の鉄鋼生産国の対米輸出が制限される可能性があります。

8月22日には商務省がアルゼンチン産バイオディーゼルに対してCVDの仮決定を下しました。ペンス副大統領が同国に訪問した矢先のことです。税率はアルゼンチン企業により異なり、50.29%から64.17%と設定されました。大豆から作られるアルゼンチン産バイオディーゼルの輸入額は2016年に約12億ドルを記録、過去三年間で9倍程の伸びを見せていました。ウルグアイのエル・オブセルバドール紙によると、関税率15%の引き上げでアルゼンチン産の輸入を止めるに十分であり、上記の税率はかなり高い水準といえます。

このほかにもトランプ政権は3月にはブラジル産シリコンメタルに対するAD・CVD調査、 6月にはコロンビア産クエン酸およびクエン酸塩に対するAD調査を開始しています。

「トランプ警報」はメキシコを超えて次第に南へと届き始めています。在中南米諸国の企業はトランプ政権の動きにこれまで以上に注視する必要がありそうです。

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