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TWI Global Business ニュースレター 第26号 10/18/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

大統領選が汚職撲滅への第一歩に

 

大統領選が汚職撲滅への第一歩に

「役人や議員も手伝え!」
9月のメキシコシティー大地震で被災した市民が不満を訴えています。日本をはじめ各国から救援隊が駆けつける中、議員らはこの地震を選挙に利用することしか頭にない、と考えているメキシコ市民が多いようです。多くの子供達が犠牲となった市内の校舎の崩壊の背景にはずさんな建築許可、ひいては担当の役人への賄賂があったと噂されています。1985年のメキシコシティー大震災以降は厳しい耐震構造基準などが導入されてきました。しかし多くの建物が当局への賄賂により基準以下で許可を得てきたとして、メキシコシティーの検察官は震災後に150件以上にのぼる調査を開始しています。

政府の汚職はメキシコに限った話ではありません。国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルが9日に発表した中南米・カリブ地域20カ国の計2万2,000人を対象としたアンケート調査の結果によると(注)、ここ12カ月で政府の汚職が悪化していると回答した市民の数は62%を占めています。特にベネズエラ、チリ、ブラジル、ペルーでは同じ回答は4分の3以上にのぼります。汚職の業種別では警察(47%)、議員(47%)、地方公務員(45%)、大統領・首相(43%)の順に高くなっています。メキシコやペルーで運転中に警官に止められ、見逃す代わりに賄賂を求められるというエピソードは日本の駐在員のあいだでもよく聞かれる話です。

ここ12カ月で公務員と関わりのあった市民のうち、賄賂を支払ったとの回答は29%に達しました。国別ではメキシコが51%と最も高く、ドミニカ共和国(46%)、ペルー(39%)、ベネズエラ(38%)が続いています。しかし、賄賂を支払った市民が政府に問題を報告した割合はわずか9%にとどまっています。報告者が少ないのにはその行動自体に不安を感じていることが背景にあるようです。報告後に当該公務員に対してなんらかの対処がなされたとの回答は21%なのに対し、28%が報告者にとって報復を含むなんらかの「悪い結果」になったと回答しています。

中南米・カリブ地域全体に蔓延する賄賂に対して市民が取れる手立てはあまりなかったのかもしれません。役人から報復を恐れる者もいれば、長いあいだ貧困層にとっては賄賂が生きるための手段だった可能性もあります。しかし、近年にはスマートフォンなどITの普及や公共サービスの質の向上を求める中間所得層の拡大により、市民の賄賂に対する意識は変化しているようです。本アンケートでは70%の回答者が市民は賄賂の撲滅に向けて何らかの行動を起こせると回答しています。この考え方は特にブラジル(83%)、コスタリカ(82%)、ホンデュラス(82%)などで高くなっています。特に若者のあいだでは74%に達しています。

ブラジルにおける政治家の汚職に対する市民の厳しい見方はテメール政権に対する抗議運動に発展しています。2018年に予定しているメキシコの大統領選で高い支持率を得ている左派民主革命党(PRD)のオブラドール候補は「汚職撲滅」を公約の一つに掲げています。2017年から2018年にかけてブラジル、メキシコ、コロンビア、チリなどの主要国では大統領選を控えています。市民のあいだで強まる要求に応えるべくオブラドール候補のように他の主要国でも汚職への取り組みが公約になっていくかどうかが注目されます。

注.「Corruption on the rise in Latin America and the Caribbean」。
本レポートは以下のサイトからダウンロード可能:
https://www.transparency.org/_view/publication/7983

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