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TWI Global Business ニュースレター 第27号 11/19/2017

TWI Global Business (Div. of Teruko Weinberg Inc.)

目次:

新興政党と独立系が大統領選のカギ

 

新興政党と独立系が大統領選のカギ

2017年から2018年にかけて中南米の主要国は大統領選の年を迎えます。11月にはチリ、翌年5月にはコロンビア、7月にはメキシコ、そして10月にはブラジルが続きます。チリやコロンビアはここへきて経済成長に一服感が見られます。メキシコは経済依存度の高い米国のトランプ政権による「メキシコいじめ」に苦しんでいます。ブラジルは2017年に入り歴史的な景気後退の底がようやく見えてきました。こうした状況のなか、どの国でも新政権による政策かじ取りが一層重要となっています。

チリは独裁政権の終焉以降は伝統的に中道左派が優勢です。右派による大統領選勝利は一度だけであり、それが現在支持率トップを走るピニェラ元大統領でした。最新の世論調査によるとピニェラ氏の支持率は32.8%、二位の中道左派ギジェール氏の13.8%を大きく離しています。ビジネスで成功をおさめてきたピニェラ氏は、環境規制などを背景としたエネルギーやインフラ部門での直接投資の停滞にメスを入れていくと考えられ、国内外のビジネス界は期待を寄せています。

コロンビアは混戦模様です。各候補の支持率や順位は世論調査によって大きく異なっています。どの調査でも上位を占めているのはサントス現政権で副大統領を勤めたバルガス氏と元アンティオキア県知事・メデジン市長のファハルド氏の二名です。バルガス氏とファハルド氏はそれぞれエネルギー開発やインフラ整備に実績があり、ビジネス界から高い期待が寄せられています。この二人を緑の党のロペス氏が追っています。政治家の腐敗撲滅を公約の柱に掲げるロペス氏がバルガス候補などの汚職疑惑を追及する姿は、国民の心をじわじわと掴み始めているようです。

メキシコでは元メキシコ市長で左派・国家再生運動(MORENA)のオブラドール氏が現時点では支持率トップに立っており、これにカルデロン前大統領の妻サバラ氏などが続いています。同国では伝統的に制度的革命党(PRI)、革命民主党(PRD)、国民行動党(PAN)の三大政党が支配していますが、どの党も候補者の選出に難航しています。ペニャニエト現大統領(PRI)は米国のトランプ大統領に対する「弱腰外交」やインフレ問題を背景に低い支持率に苦しんでいます。一向に改善しない治安問題や先のメキシコシティー大地震で露呈した政治家の賄賂問題などで国民のエスタブリッシュメントに対する風当たりは増しています。この状況を厳しく非難すると同時に、反米姿勢やNAFTA交渉に反対する姿がオブラドール氏の人気につながっているようです。加えて、カルデロン元大統領の妻サバラ氏がPANを離党し、独立系で大統領選に出馬する見通しとなっています。三大政党がもたつく中、当面はこれら二人の動きに注目が集まります。

ブラジルでは左派労働党のルーラ元大統領が支持率でトップ、これに右翼のボルソナロ連邦下院議員が続いています。「ブラジルのトランプ」と呼ばれる元軍人のボルソナロ氏は、法・秩序維持の徹底を公約に掲げ、移民反対や警察権力の拡大を訴えています。政治家の腐敗や犯罪に対しても厳しいスタンスを取っており、地元のリオデジャネイロ市民を中心に人気を集めつつあります。一方のルーラ氏は「ラバジャト」賄賂事件で告訴されており、実際の出馬は不透明となっています。中道左派勢力の社会民主党(PSDB)は対抗馬として現サンパウロ市長のドリア氏の擁立を検討するなど、ボルソナロ氏の健闘に焦りを見せ始めているようです。

政治家の腐敗が次々と明るみに出る、治安は悪化の一歩を辿るといった問題が続くなか、市民のエスタブリッシュメントに対する不信感は過去にないほどに高まっており、これが新興政党や独立系の活躍につながっています。大統領選が本格化するのはこれからであり、有力政党が候補者を決めれば大局が動く可能性はありますが、新興勢力が選挙戦に影響を与えていくことは間違いと考えられます。

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