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JBA主催セミナー 2018/11/16

JBA主催セミナーで中南米諸国のビジネス環境について講演(2018年11月16日、トーランス市)

TWI Global Businessの水野が2018年11月16日にトーランス市にて開催された南カリフォルニア日系企業協会(JBA)主催セミナーで講演しました。講演のテーマは「トランプ時代の中南米ビジネス~政治経済の最新動向~」。トランプ政権の通商政策が中南米諸国にどのような影響を与えているか、日系企業が中南米市場にアプローチするにあたり米国の有するインフラやリソースをいかに活用すべきかなどについて説明しました。

主にロサンゼルス地域から50名を超える企業関係者にご参加いただき、盛況のうちにセミナーを終えることができました。参加者やJBAの皆様には心から感謝申し上げます。

2018年にはブラジル、メキシコ、コロンビアといった中南米主要国での大統領選の結果、大きな政治的転換が起きました。ブラジルでは政治腐敗徹底排除や治安悪化への歯止めの期待から、極右党PSLのボルソナーロ氏が選出されました。メキシコではそれまでの支配的な政党に代わり左派モレノ党ポピュリストのオブラドール氏が勝利しました。いずれも政治腐敗や治安悪化に不満を募らせた国民がエスタブリッシュメントに「No」を突きつけた瞬間でした。メキシコなど一部を除いて多くの新政権は財政の引き締め強化やビジネス環境の改善を目指しており、市場関係者は期待を寄せています。

翻って米国ではトランプ政権がメキシコとカナダとのあいだでNAFTAに代わる新協定USMCAに署名しました。自動車分野で大きなルール変更があり、現地の日系企業は原料や部品の現地化を迫られることになりそうです。また、米国は中国に対して強硬姿勢を強めています。米国側の中国からの輸入に対する関税引き上げ措置、それに対抗すべく中国の米国輸入に対する報復的関税措置により、両国間でサプライチェーンを確立している日系企業は大きな影響を受けています。米中貿易摩擦の悪化により世界経済への影響が心配されています。他方、短期的には両国の調達先の変更により中南米諸国の輸出にはメリットとなっているようです。

トランプ政権が繰り出す貿易措置に困惑する在米日系企業にとっては、中南米ビジネスでっは「主役」になれる機会が多くあります。日本から中南米へのアプローチには地理的距離や時差、異なる文化や言語、情報の欠如など多くの壁があります。在米日系企業が米国からアプローチすることでその多くを解消することができます。米国と中南米都市をつなぐ国際便や運輸の充実、中南米を専門とする法律事務所、コンサルティング、マーケットリサーチ、メディアなどの存在、2050年には米国人の3人に1人を占めるようになるヒスパニック系人材、米国と中南米諸国が結んでいるFTAなど、「中南米へのゲートウェイ」米国は優れたビジネス環境を提供しています。

2018年12月30日にはTPP11が発効します。2019年1月以降には日米物品貿易協定(TAG)締結に向けた交渉が開始される予定です。TPP11ではメキシコ、ペルー、チリといった中南米の締約国が日本を含むアジア・太平洋諸国とのあいだで自由貿易圏を形成します。米国は残念ながらトランプ大統領が辞退したことでTPP11には入っていませんが、在米日系企業は新たに形成される太平洋大のサプライチェーンで主導的役割を果たすことが可能です。

厳しいトランプの時代でも商機が消えてなくなるわけではありません。ただし正確な情報かつ迅速な見通し判断に基づき戦略・対応策を練っていくことがこれまで以上に求められると考えられます。

JBA Seminer 2018